河内宙夢 創作メモ

シンガーソングライター

5/24

母親と喧嘩をした。「アンタ、イツマデブラブラシテンノヨ」静かに怒っているようなその声は、少しかすれて、ぐっと感情を抑えたように震えていた。たぶんずっと言いたくて我慢していたのだろうな。他愛のない会話をしていた昨日も、実はタイミングを伺っていたのだ。

未来という言葉はいまの僕にとって、ペッとないがしろにすることもできないし、かといってあまり意識して大切にしていたくもない、でもいつかは取り出さなければいけない、鍵付きのショウケースの中に入っている、何年も取り出されていないよくわからない置物みたいな感じで扱っていたから、そこを母親にバリン!と割られて、ホレ、これどうすんのよ!みたいにされて、かなり戸惑い、少し感情的になってしまった。(いい年をして・・・)

今年の母の日は、別に毎年特に何もしていないけど、たまたま母がいつも行っている駅前のスターバックスが改装中だったので、かわりに、駅近くにあって僕が良く行っている個人経営の小さな喫茶店に連れて行ってあげた。だけど母は入口から拒絶反応を起こした。

「私こういうオシャレなところ無理なのよ」「私はおばさんだから、こういうのは若い人たちがいっぱいいるから・・・」「長い時間居れないし・・・」

全部スタバにも当てはまる気がするけど・・・と僕は言いながら、嫌がる母をとりあえず座らせた。しかし母は終始落ち着かずそわそわして、ついにはいつも持ち歩いている薄いピンクの花びらがプリントされてある、マイタンブラーを取り出し、頼んでいたアイスコーヒーをガバッと入れて、それをカバンに入れて足早に帰っていった。

ものの数秒ですっからかんにされたアイスコーヒーのグラスは、ポカーンとして、なんだか間抜けで、僕はちょっと笑ってしまった。

その時僕は、なぜか母親を愛しく思った。僕は空になったグラスをじっと見ながら、湧きあがった自分の感情にちょっと驚いた。そこには抗えないなにかが確かにあって・・・ってまあそんな大した話でもないからもうやめよ。そして美談でも何でもない。ただのマザコン話です。

なんでもかんでもシリアスに考えてしまうのは自分の悪い癖というか、本の毒に侵されたというか。まあ、そうでもしないと歌はかけないというのもあるけど。

ジムモリソンも寺山修二も、父を殺し、マザーをファックしたというのに一方おれは、母に怒られてシュンとしている。駄目ですねこりゃ。