河内宙夢 創作メモ

シンガーソングライター

12月6日

伊集院静のエッセイは軽かった。『銀座の花売り娘』

勿論それは悪い意味じゃなくて、その文章は、まとまっていて品があって、ヒップだった。そこには、日本特有の粋というか、媚態があって、諦めがあって、そしてその底には男の意地みたいなものが見えて、かっちょ良くて、何回か涙した。

それに比べると、ブコウスキーの文章はやはり重い。脂っこいともいえる。伊集院静がさらりとした冷酒ならば、ブコウスキーのそれはひどく二日酔いになる安ウイスキーみたいな感じでしょうか。でもそれがキュートで渋い。次のアルバムは『ダンディズム』にしようかな。なんちゃって。

昔、実家の自分の部屋に、飼っていた犬がうんこをしていて(その頃、家のネコも自分の部屋に糞をする習性があった!)当時は部屋の床にほとんど読んでない文庫本が散乱して居たのだけど、運悪く糞は文庫本の上にされていた。あちゃーと思って手に取ったその文庫本は、ブコウスキーの「パルプ」だった。その時僕は、ブコウスキー氏には大変失礼かもしれないけど、とても似合っていると思った。ブコウスキーの本と犬の糞。

これが、「くそったれ!少年時代」だったらもっとおかしかったんだろうけど、でも僕は、何十冊かある文庫本の中で、C・ブコウスキーをトイレに選んだ犬の文学観に感心すると同時に、犬の糞すら文学的にしてしまう、ブコウスキーにさらなる尊敬を抱いた。

日本に、犬の糞すらもかっこよくしてしまう作家はいるだろうか。別にいなくてもいいかもしれないけど、なんとなく物足りなくも思ってしまう。