河内宙夢 詩、日記

コウチヒロム 日記、詩、活動

記憶の残骸

「人間は何かを思い出すためにキスをしたり、歌を作ったりしたりするんじゃないですか」

この人になら、、と一瞬思い、余った時間は彼女の肩にずっともたれかかっていた。

好きとか、嫌いとか、そんなんじゃなくて。京橋のピンクサロンにて。

 

最近は性欲旺盛な自分。東京に帰ったり大阪に頻繁に行ったりしたからかもしれない。

自分の場合こういう時は不思議と曲は出来ない。楽しいけど、心からテンションは上がっていないのかもしれない。

無性に本が読みたくなって石原吉郎の『望郷と海』を読み返す。

「言葉がむなしいとはどういうことか。言葉がむなしいのではない。言葉の主体がすでにむなしいのである。言葉の主体がむなしいとき、言葉の方が耐え切れずに、主体を離脱する。」(沈黙と失語)

戦後ロシアの強制収容所で失語状態になった石原吉郎は、ある日目の前で射殺されたロシア人の捕虜の死体をみて言葉が湧き上がってきたらしい。

言葉が現実を超えるのではなく、現実が言葉を超えた時に、本当に言葉が出てくるのかもしれない。

望郷と海は結構ヘビーなので一日一章ずつくらいしか読めないが、いままで何回も読み直してる本。